レッドデータブックのカテゴリーと定義

レッドデータブックの新しいカテゴリーについて
IUCN(International Union for Conservation of Nature and National Resources。国際自然保護連合)は、1994年、植物版レッドデータブックの新しいカテゴリーを採択した。 しかし我が国では数値的に評価が可能となるデータが得られない種も多いことから、定性的要件と定量的要件を組み合わせたカテゴリーを策定した。 以下に新カテゴリーの対応表を記す。

新RDBカテゴリー(IUCN版との対応表)
「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物8 植物T(維管束植物).環境庁編,2000年7月」から引用
IUCN RDBカテゴリー日本版RDBカテゴリー
Extinct(Ex)
絶   滅
Extinct in the wild(EW)
野生絶滅
Threatened Critically
Endangered(CR)
TA類絶滅危惧T類(CR+EN)
絶滅危惧
Endangered(EN)TB類絶滅危惧T類(CR+EN)
絶滅危惧
Vulnerable(VU)   絶滅危惧U類
絶滅危惧
Lower Risk Conservation Dependant
(カテゴリーを設けず)
Near Threatened(NT)
準絶滅危惧種
Least Concern
(カテゴリーを設けず)
Data Deficient(DD)
情報不足


RDBの併記について
私のホームページに掲載した写真には、環境庁版、青森県版、細井版、沼田見解(私個人の見解。記号の意味は環境庁版と同じ)のRDB記号を併記した。 環境庁版は全国的見地からのものであり、青森県版と細井版は青森県内から見渡したものである。 青森県内では絶滅が危惧されるものでも全国的にはそうでないものがある。またその逆もあると思う。記号の定義に関しては以下に表として記した。

環境庁自然保護局野生生物課(Environment Agency of Japan):
 改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物−レッドデータブック−8 植物T(維管束植物),2000年7月(Threatened Wildlife of Japan-Red Data Book 2nd ed.-Volume 8, Vascular Plants, July 2000)
記号定義
絶滅(EX)わが国ではすでに絶滅したと考えられる種
野生絶滅(EW)飼育・栽培下でのみ存続している種
絶滅危惧T類(CR+EN)絶滅の危惧に瀕している種
 絶滅危惧TA類(CR)ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種
 絶滅危惧TB類(EN)TAほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種
絶滅危惧U類(VU)絶滅の危険が増大している種
準絶滅危惧(NT)現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
情報不足(DD)評価するだけの情報が不足している種
絶滅のおそれのある地域個体群(LP)地域的に孤立しており、地域レベルでの絶滅のおそれが高い個体群

青森県環境生活部自然保護課:
 青森県の希少な野生生物―青森県レッドデータブック―普及版,2001年3月
記号定義
EX 絶滅絶滅県内では、すでに絶滅したと考えられる野性生物
EW 野生絶滅過去の記録・標本等において生息・生育が確認されているが、現在は確認できない種
A 最重要希少野生生物県内では、絶滅の危機に瀕している野生生物。環境庁の絶滅危惧T類(CR+EN)に相当
B 重要希少野生生物県内では、絶滅の危機が増大している野生生物。環境庁の絶滅危惧U類(VU)に相当
C 希少野生生物県内では、生息・生育を存続する基盤が脆弱な野生生物。環境庁の準絶滅危惧(NT)に相当
D 要調査野生生物県内では生息・生育情報が不足している野生生物。環境庁の情報不足(DD)に相当
LP 地域限定希少野生生物県内では地域内に孤立している個体群で、地域レベルでの絶滅のおそれが高い野生生物。環境庁の絶滅のおそれのある地域個体群(LP)に相当

細井幸兵衛(K.Hosoi):
 青森県野生植物目録,1994年12月
(A list of Wild Vascular Plants of Aomori Prefecture, Dec. 1994)

記号定義
 A青森県全体を見渡しての希産種(全国的には普通種のこともある)
 B青森県全体を見渡しての中庸種
 C青森県全体を見渡しての普通種
 EX青森県全体を見渡しての絶滅種(Exterminated Species)標本は残っているが現存が確認できない植物


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