ツツジ科エゾツツジ属 Ericaceae Therorhodion Small
エゾツツジ Therorhodion camtschaticum (Pall.) Small

エゾツツジの花(岩手山)
エゾツツジの実生栽培品

小さな体に大きな花、そのあざやかな紫紅色は登山者の眼を奪い、しばしたたずませる。 まさしくツツジ科高山植物の王者と言ってよいだろう。多くの山草家が一度は栽培したくなる高嶺の花である。 しかしエゾツツジの栽培は難しい。 現在私が持っているエゾツツジは、25年ほど前に種から育てたものである。 正確な記録はとっていなかったが、実生により4〜5年で花を見ることができたと記憶していた。 なおエゾツツジは地下茎から新しい芽を作るので、2〜3年毎に植え替え若木を更新してきた。

【実生1。失敗例】
  • タネ播き日:2003/08/15
  • 播き床:基本混合用土
  • 撮影日:2004/08/30

    [メモ]
    種子は自家採種、採り播きした。一部当年中に発芽する。播き床が用土だけでは発芽しても成長は遅い。 写真は混合用土に採り播き1年の状態を示した。ミズゴケ床に採り播きすれば、発芽・生育ともによく1年目に植え替えができる。
  • 【実生1。2年目】
  • 撮影日:2005/05/15
  • 植え替え:2005/05/15
  • 植え替え用土:鹿沼土3、赤玉土3、桐生砂1、十和田砂1、蝦夷砂1、ピートモス1

    [メモ]
    さらに9か月後の生育状態を示した。かなり成長したのが分かる。生育のよいもの5株を植え替えた。 なお3年目に残10株を植え替え他は廃棄した。
  • 【実生1。3年目】
  • 撮影日:2006/07/27

    [メモ]
    タネ播きから3年、最も生育のよいものを示した。なお鉢は6.0cmポットに植え替えてある。
  • 【実生1。5年目】
  • 植え替え日:2007/07/29、2008/04/29
  • 撮影日:2008/05/22

    [メモ]
    5年目でも花は咲かず、6年目も花芽がつかなかった。失敗例と思う。

    2009/04/19日植え替えたが5株だけとなった。2010/04/24、冬は越しところで根が弱く芽吹きも悪い。 失敗は明らかであり廃棄した。以下高山植物の実生2を参照願いたい。

  • [ここまでのまとめ]
    実生1は7年目に入って株は弱まり廃棄した。失敗例である。
    1. 失敗第一の原因は播き床にあったと反省する。播き床はミズゴケにすべきだった。
    2. 播き床がミズゴケなら植え替えも早めることができる。高山植物実生成功の秘訣はタネまき1年目に、いかに大きく成長させるかにある。 幼苗に力があれば、植え替え後の生育も良くなり開花させることが不可能ではない。
    3. 失敗第二の原因は、幼苗に対する夏の暑さ対策(遮光、置き場所)に手抜かりがあったかも知れない。
    4. 現在私は2007年、2008年、2009年と続けて追加再実験を行っている。 再実験の成績は、「高山植物の実生2」に継続掲載する。

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