用 土
- 入手の容易な用土を用いている。
最近私は赤玉土4、鹿沼土4、桐生砂1、十和田砂1、富士砂1、バーミュキライト1〜2の混合用土を基本用土とし試験的に用いている。
これらの他にパーライト、ピートモス、腐葉土も用いることがある。燻炭モミガラ、黒土は用いていない。
なお各用土の混合率は、自生地の状況から自分なりに決めている。
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実生苗の植え替え時には鉢の下部(根の接しない所)に、少量の即効性化成肥料または緩行性化成肥料を置いている。
どちらの肥料を置くかは植物による。例えば成長の早いリシリヒナゲシには、即効性化成肥料を置く。
播き床
- 高山植物実生成功の秘訣は、発芽小苗をその年内に、いかに早く成長させるかにかかっている、と思う。
例えばイワウメの場合、火山砂礫の用土でも発芽はする。発芽はするが液肥を施しても生育は遅く植え替えなど夢物語。
イワウメのまき床は、バーミュキライトを加えた混合用土が、砂礫単用よりはやや良いのが経験から分かっていた。
私はさらに少量のピートモス、腐葉土を加えた用土がもっとよいのではと考えたこともある。
そして私は最近、イワウメの播き床はミズゴ(乾燥ミズゴケ)が見直されるべきとの結論に達した。発芽率・生育率が格段に良いからである。
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矮性ツツジ科植物の実生も、成功の秘訣は発芽苗をなるべく早く成長させることにある。ツツジ科植物の播き床としては、ミズゴケが優れている。
例えばチシマツガザクラやエゾノツガザクラは、ミズゴケ床にまくと年中に植え替えができ、土より成長が1年早まる。
ただ乾燥ミズゴケは腐りやすく、液肥を施すとヌルを発生しやすいのが欠点。従ってなるべく良質のミズゴケを用いる。
なお砂礫土を播き床とする場合、年内に発芽する種子の場合は、あらかじめ用土の中間に緩行性化成肥料を元肥として置くのが良いとテキストにある。
化学肥料の使用は間違うと失敗につながるが、私も今後は再実験を中心に化学肥料を用いた播き床で実験する予定である。
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ミヤマリンドウの実生は、相当の難物ではないかと思っている。テキストブックに書かれた方法ではうまくいかない。
私の経験では種子が悪いと発芽率が極端に悪くなる。またたとえ発芽しても生育できず消えるからである。
最近、よさそうな種子が得られたので、
- @混合用土
- Aミズゴケ単用
- B混合用土+ピートモス+完熟腐葉土
の3者で実験したところ、ABの発芽率と生育率がよかった。従来高山植物の培養土として、ピートモス、腐葉土はあまり勧められていなかったと思う。
しかしタネまき床に関しては、用いた方の良いもののあることが知られる。
- 【混合用土】:鉢底に中粒を置き、その上に細粒を置く。最上部には種子の流れ防止をかねて、やや大きめの細粒を置くこともある。
種子が細かい場合は用土の被覆は行わない。しかし大きな種子の場合は、それ相当の被覆をする。タネを播いた鉢は水切れしないように注意する。
- 【ミズゴケ】:市売の乾燥コズゴケを使用する。湿性を好む植物、湿原に生育する植物以外にもに用いてみた。ミズゴケ床は発芽率も成長率も土より優れている。
ただ植え替え時に根にからんだミズゴケを取り払うのに手間がかかり、腐りやすいのが欠点。
また乾燥ミズゴケは逆に生き返り成長することがある。発芽苗の成長が遅い植物の場合は(例えばイワウメ、イワカガミ等)、発芽小苗を覆ってしまわないよう成長ミズゴケを切除する。
- 【タネ播きの時期】:採り播きを原則とする。入手が遅れた種子は春播きとなる。私は初めて播く種子の場合、採り播きと春播きの2回に分けて行うことが多い。
乾燥を嫌う種子の場合は、湿らせたミズゴケまたは川砂とともにビニール袋に入れ冷蔵庫の野菜室に保存する。
なお殺菌剤として外用消毒薬ヒビテンを試験的に用いている。
- 【植え替え】:発芽苗は本葉が2〜3枚出たら植え替える。しかし成長の遅いものは2年目以降に植え替えたのもある。
植え替えをした実生苗はしばらく養生後、少しずつ日光に慣らし盆栽棚に移す。
挿し床
- 【用土】:通常、鹿沼土の細粒を用いている。これにバーミュキライトを混ずることもある。また古老にもっぱら川砂を用いる人がいた。
きざんだミズゴケを混ぜると良いと書いてた本もある。私はシャクナゲの挿し木の場合、ミズゴケを巻いて挿し良い結果を得ている。
各自が工夫し自分なりの挿し床を会得するのが良い。ヒメシャクナゲの場合は、ミズゴケ単用でもよく発根する。
- 【挿し枝・挿し穂】:前年枝挿しと今年枝挿し(若芽挿し)がある。
- 前年枝挿し
通常は前年枝を少しつけて挿している。落葉樹の場合は新葉が固まりかけた頃に挿している。
前年枝挿しで成功しない場合は、今年枝挿しを試みると良い。
- 今年枝挿し
ヒメシャクナゲの場合、今年枝挿しでも発根する。今年伸びた枝が固まりかけたら挿す。
チングルマやコメツツジなどは今年枝挿しの方が良いと感じている。
ただ折角伸びた大切な今年枝を切るのは勇気がいる。
- 【挿し木の時期】:挿し木の適期は、気温が20℃くらいに上昇し湿度も高くなる入梅の頃がよいとされている。
しかし高山植物の場合は、植え替え剪定時に行うことが多い。イワヒゲやエゾノツガザクラは5月中旬に行っている。
- 【挿し木の管理】:挿し木をした鉢は、1か月風や日の当たらない場所におく。しばらくは穴あきビニール袋で覆い霧吹きで湿度を保つ。そして日光には徐徐にならす。
- 【植え替え】:挿し木苗は原則として翌春植え替える。
肥料
- 実生の場合は双葉がでたら、ごく薄い液肥を2週間に1回与える。
挿し木の場合も、発根が考えられる場合はごく薄い液肥を2週間に1回与えている。
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