ツツジ科ツツジ属 Ericaceae Rhododendron
ハクサンシャクナゲ Rhododendron brachycarpum G. Don

ハクサンシャクナゲ(岩木山)
ハクサンシャクナゲの果実(庭植え)

ハクサンシャクナゲは青森県内の高い山に広く分布し、古くから庭木としても用いられてきた。 アズマシャクナゲは分布せず、キバナシャクナゲは南八甲田のごく一部に記録されているにすぎない。 ハクサンシャクナゲは他の日本産シャクナゲに比べ花が見劣りする。しかし枝の間のびが少ないため鉢植えができる。 特にエリモ系ハクサンシャクナゲは、背が低く葉は丸みをおび厚く色も濃い。芽の胴吹きもするので盆栽づくりに人気が高い。

【実生5か月】
  • タネ播き日:2003/04/01
  • 播き床:ミズゴケ
  • 撮影日:2003/11/09

    [メモ]
    写真はタネを播いて5か月、本葉が出てかなり大きくなっている。
  • 【挿し木。発根状態】
  • 挿し木日:2007/06/02
  • 播き床:鹿沼土+ミズゴケ
  • 撮影日:2007/09/15

    [メモ]
    ハクサンシャクナゲの挿し木は難しい部類に属する。私は何度か試み2007年に初めて成功した。 昨年枝をわずかにつけ、前年葉は一枚だけ残した。発根促進剤をまぶしミズゴレを巻いて挿している。 5本中、2本が発根してくれた。発根は取り除いた前年葉基部から起こる。

  • 【参考】
    次にヤクシマシャクナゲ(挿し木)、アズマシャクナゲ(挿し木)、竜飛系ハクサンシャクナゲ(実生)、 八甲田系ハクサンシャクナゲ(実生)、エリモ系ハクサンシャクナゲ(実生)の葉を参考として示す。 エリモ系は葉が丸みをおび色も濃く全体的に小ぶり。竜飛系は葉に丸みはないが色が濃く厚い。


    【参考】
    後列左:ヤクシマシャクナゲ(挿し木2年)
    後列右:アズマシャクナゲ(挿し木2年)
    前列左:竜飛系ハクサンシャクナゲ(実生3年)
    前列中:エリモ系ハクサンシャクナゲ(実生2年)
    前列右:八甲田系ハクサンシャクナゲ(実生3年)

    ハクサンシャクナゲ(実生7年) ハクサンシャクナゲ(挿し木3年) エリモシャクナゲ(実生6年)
    2010/06/24
    2010/06/24
    2010/06/24

    後列(取り木9年)、前列左(実生9年)、前列右(挿し木5年)
    ハクサンシャクナゲ(取り木25年)

    【八重咲きハクサンシャクナゲについて】
    青森市内に住む神一夫さんは、ハクサンシャクナゲ実生35年の研究歴を持つ。神さんによると、ハクサンシャクナゲを種から育てると開花まで10年以上かかるという。
    なお神さんは実生により福島県の県花となっている八重咲き種(ネモトシャクナゲ R. brachycarpum f. nemotoanum Nakai)をも種からの生育に成功しているので紹介する。 ただし八重咲き種は天候に左右されやすく(?)一重になることがあり、次年度には再び八重になったりするということであった。 詳しく知りたい方は連絡先を下に記すので直接問い合わせ願いたい。

    八重咲きシャクナゲ栽培・販売
     神 一夫
    038-0022 青森市浪館近野 10-2(青森県総合運動公園入口右向)
    Tel 017-782-2978

    八重咲き種。白っぽい花
    八重咲き種。ピンクの花
    神さんの栽培場
    神さん(左はし)と見学者


    【追加】タネ播からその後の開花まで

    【実生12年開花。竜飛系ハクサンシャクナゲ】
  • タネ播き日:2003/04/01
  • 撮影日:2015/05/27

    [メモ]
    写真はタネ播12年目で開花した竜飛系ハクサンシャクナゲを示した。
  • 【実生11年開花。エリモ系ハクサンシャクナゲ】
  • タネ播き日:2004/04/19
  • 撮影日:2015/06/09

    [メモ]
    写真はタネ播11年目で開花したエリモ系ハクサンシャクナゲを示した。

  • [まとめ]
    1. ハクサンシャクナゲの播き床はミズゴケが良い。採り播きしても発芽は通常翌春となる。
    2. 発芽苗は間引きをする。植え替えは1年目でもできるが、幼苗に力をつけ2年目に行えば安全。ハクサンシャクナゲは開花まで10年以上かかる。
    3. なおハクサンシャクナゲの挿し木は難しく、取り木の方が容易である。取り木は3年以上短縮できる。

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