ツツジ科ヒメシャクナゲ属 Ericaceae Andromeda L.
ヒメシャクナゲ Andromeda polifolia L.

ヒメシャクナゲの花(八甲田山)
ヒメシャクナゲの花(挿し木2年)

ヒメシャクナゲは挿し木が容易である。前年枝挿しでも今年枝挿しどちらも発根する。挿し木をした枝は、春になってから植え替える。植え替え翌年(満2年)には花が咲く。 従って実生はほとんど行われないと思う。ヒメシャクナゲの種子は、ツツジ科植物としては大きい。秋播きだったためか当年中の発芽はなかった。 春もやや遅い発芽であった。発芽した幼苗は針金のように細くひょろひょろとのび、挿し木苗の太さに比べれば全く似ていない。 ミズゴケ床で発芽した苗の生育が良く5下旬に植え替えている。しかし夏場に入って数株が次々に枯れた。枯れた原因は分からない。

【実生1】
  • タネ播き日:2007/10/31
  • 播き床:@ミズゴケ。A基本混合用土
  • 発芽確認日:2008/04/27
  • 撮影日:2008/05/25

    [メモ]
    ミズゴケと混合用土の二者に播いた。ともに年を明けて発芽したが、ツツジ科高山植物としては遅い方である。 発芽後の生育はミズゴケに播いた方が良かった。ミズゴケ床の小苗の発育が良いので植え替えている。
  • 【植え替え】
  • 植え替え日:@2008/05/25。A2008/08/25
  • 植え替え用土:基本混合用土
  • 撮影日:2008/08/25

    [メモ]
    7月に入って数株が枯れた。8月にも2株枯れたので、思い切って無肥料の用土に再度植え替えた。 4株が枯れずに残った。写真は枯れてない1株である。幼苗は針金のような茎でひょろひょろとのび、ツルコケモモかと錯覚しそう。鉢は対角6.5cm角プラポット鉢。
  • 【2年目】
  • 植え替え日:2009/07/01
  • 植え替え用土:基本混合用土
  • 撮影日:2009/07/18

    [メモ]
    4株のうち1株が年を越せなかった。残った3株の様子を観察し元気であることを確認し、2009/07/01日に鉢増しをした。 鉢は7.5cm丸プラポットである。なお針金のようにのび樹姿を乱す枝は、2009/07/11日、思い切って剪定した。

  • 【参考】
    混合用土に播いた成績を示す。
    • タネ播き日:2007/10/31
    • 発芽確認日:2008/04/27
    • 撮影日:@2008/08/25。A2009/04/26
    • 植え替え日:2009/05/09
    • 3回目撮影日:2009/07/18
    [メモ]
    混合用土に播いた場合の生育はミズゴケより劣った。この例では植え替え可能まで生育していたが、ミズゴケに播いた苗の一部が枯れたので、その失敗に備え植え替えなかった。 2年目春になり急に成長が早まり、2009/04/26日に撮影、2009/05/09日に植え替えている。混合用土苗は植え替えが1年遅れたが、植え替えによりほぼ挽回した状態まで生育している。
    なお写真右下は、左がミズゴケ播き、右が用土播きの写真である。対比として示した。針金のようにのび樹姿を乱す枝は、ここでも部分的に剪定し、選定した枝は挿し木をした(2009/07/11)。

    播き床:混合用土 播き床:混合用土 左:ミズゴケ。右:混合用土
    撮影日:2008/08/25
    2008年中に植え替えなかった
    撮影日:2009/04/26
    2009年、春の植え替え前
    撮影日:2009/07/18
    左:ミズゴケ播き苗。右:用土播き苗

    【実生1の続き。3年目】
  • タネ播き日:2007/10/31
  • (中略)
  • 植え替え日:2010/04/30
  • 植え替え用土:基本混合用土
  • 撮影日:2010/06/22

    [メモ]
    残った3株を植え替えた。鉢は9.0cmプラポットである。生育は少し進んだが相変わらず細く、ツルコケモモの種子を播いたのかと疑心暗鬼になった。 一方前年選定・挿し木をした枝の生育は親株に勝る。
  • 【実生1の続き。選定・挿し木】
  • 選定・挿し木日:2009/07/11
  • 挿し床:鹿沼土
  • 植え替え日:2010/04/25
  • 植え替え用土:基本用土
  • 撮影日:2010/06/22

    [メモ]
    前年選定・挿し木をした枝は実生親株より元気が良い。参考として掲載した。なお鉢は対角8.5cm連結プラポット鉢である。
  • 【実生1の続き。5年目。親、小、孫の比較】
  • 親のタネ播き日:2007/10/31
  • 子の挿し木日:2009/07/11
  • 孫の挿し木日:2011/07/14
  • 撮影日:2012/06/16

    [メモ]
    親株の生育は相変わらず悪い。貧弱でいつ枯れてもおかしくない。挿し木をした子株は良く生育、間のびのし過ぎと思うほどである。子を挿し木した孫株も元気で子に劣らない。 以上から以下のように考えるようになった。自生地で発芽するヒメシャクナゲの多くは、枝伏せの状態となりそこから新しく発根して成株になるのではなかろうかと。
    なお鉢はプレステラ95と9.0cmプラポットである。
  • 【実生1の続き。6年目。小株(挿し木)の開花】
  • 親のタネ播き日:2007/10/31
  • 子の挿し木日:2009/07/11
  • 撮影日:2013/05/23

    [メモ]
    やっと生きていた親株は1鉢となった。貧弱な親から挿し木した子株は挿し木4年で開花した。向かって左が親株、右が子株(挿し木。開花)である。

  • [ここまでのまとめ]
    1. ヒメシャクナゲの播き床はミズゴケが良い。採り播きすれば一部年内に発芽(再実験・実生2で確認済み)する。
    2. 発芽苗はひょろひょろと細い。実生1では植え替えても思うように生育せず、枯死するものが続出した。
    3. そこで思い切って発芽苗の挿し木を試みところ、挿した穂(木)は発根し子苗は順調に成長した。子苗をさらに挿し木した孫苗も順調に生育している。
    4. 子株(挿し木)は挿し木4年で開花した。そこで考えた。自生地で発芽するヒメシャクナゲは、枝伏せの状態となりそこから新しく発根し、成株になるのが多いのではと。
    5. その後再実験(実生2)を開始した。成績は『高山植物の実生2』に掲載するする。

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