イワウメ科イワカガミ属 Diapnensiaceae Shizocodon Sieb.et Zucc.
イワカガミ Shizocodon soldanelloides Sieb.et Zucc.

イワカガミの花(八甲田山)
イワカガミの果実(栽培品)

イワカガミは青森市の平地で栽培すると5月中旬に花が咲く。私は人工授粉をし9月上旬〜中旬に種子を採取している。 採り播きすれば1か月でわずかながら年内に発芽する。イワカガミの生育にはばらつきがある。生育の遅れたものは植え替えを繰り返すうち毎年5%程度枯れた。 イワカガミは成長すると(実生4〜5年)地下茎を出して新芽をつくる。しかしヒゲ根は弱く植え替えが難しい。 植え替えは、春になるべく根を傷めず植え替えるのが安全。

【実生】
  • タネ播き日:2002/09/16
  • 播き床:@ミズゴケ。A混合用土
  • 撮影日:2003/05/03

    [メモ]
    種子は自家採種。上記の2つの播き床に採り播きした。いずれも30日前後で少数の発芽を見ている。 私の実験ではミズゴケに播いた方が発芽率もその後の生育もずっと良かった。 本葉は出ずそのまま越冬。翌春になると写真に示したように発芽数は大幅に増えた。
  • 【植え替え】
  • 培養土:赤玉土4、鹿沼土4、桐生砂1、十和田砂1
  • 撮影日:2004/06/29

    [メモ]
    ミズゴケに播いた場合、本葉が出てきたら植え替えることができる。 ミズゴケ床に播いた幼苗の根は、ミズゴケにからんでいるので、一部ミズゴケをつけて植え替えた。 長い根は少し切り詰めたこともあったが、発育の一時的遅延を危惧し再実験では切り詰めていない。
  • 【4年目】
  • 撮影日:2006/06/30

    [メモ]
    写真は実生満4年目。生育にはばらつきがあり、かなり成長したものから今年発芽したかのようなものまでみられる。 生育の良いのを山草会会員に分けた。なお鉢は6.0cmプラポット鉢。
  • 【6年目】
  • 植え替え日:2008/03/28
  • 培養土:基本混合用土
  • 撮影日:2008/05/13

    [メモ]
    実生5年で開花した株が2〜3あり、実生6年で数%が開花している。イワカガミは実生5〜6年で開花しはじめるようである。 鉢は7.5cmプラポット鉢である。

  • [まとめ]
    1. 青森市の場合、鉢植えからの種子の採取は9月上旬〜中旬となる。
    2. 種子は採り播きすると、年内に一部発芽する。
    3. 播き床はミズゴケ床がはるかに良い。ミズゴケに採り播きすると、1年目に1回目の植え替えができる。 用土に播く場合は、ピートモスを加えた方が発芽率は良い。しかし発芽しても幼苗の生育が遅く、植え替えは2年目以降となる。
    4. 私のイワカガミの実生実験は、開花まで5〜6年かかった。 あと1〜2年短縮できないものかと考え、2008年から追試(再実験)を開始した。
    5. 用土に播く場合は、用土にピートモスや腐葉土も混ぜ、また化学肥料も用いて再実験をする。
    6. 実験は継続中であり、詳細は「高山植物の実生2」に掲載する。

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