スミレ科スミレ属 Violaceae Viola L.
キバナノコマノツメ Viola biflora L.

キバナノコマノツメ(秋田駒)
キバナノコマノツメの果実(栽培品)

スミレの種子は閉鎖花から採種する。低山から亜高山に生えるオオバキスミレ、ミヤマスミレは採り播きすると10日〜2週間で発芽する。 成長も早く翌年には花を咲かせる。ウスバスミレは花つきが悪く種子の採種が難しい。 タカネスミレとキバナノコマノツメは花つきは良く種子の採種も容易。ただ採り播きしても年中に発芽しなかった。 発芽は年明けとなっても、発芽後の成長は早くキバナノコマノツメは1年で開花した株があった。 タカネスミレも2年で開花するようである。なおスミレは完熟した種子よりも、やや未熟の種子の方が採り播きの発芽率がよいという。
  • 鈴木進:「原色 すみれ」,家の光協会,1980.
  • 三木順一:「スミレ辞典」,月間さつき研究社,1984.
一般に高山性スミレの発芽には寒さを過ごさせる必要があり、また種子が熟して殻がかたくなるほど発芽は遅れると私は感じている。

【実生】
  • タネ播き日:2007/10/02
  • 播き床:ミズゴケ
  • 発芽確認日:2008/04/06
  • 撮影日:2008/05/21

    [メモ]
    種子をミズゴケに採り播きした。当年中の発芽なく年を越して発芽している。
  • 【植え替え】
  • 植え替え日:2008/05/25
  • 植え替え用土:基本混合用土
  • 撮影日:2008/08/28

    [メモ]
    植え替え3か月の状態を示した。この時点で9株中1株に花を咲かせ、4株に貧弱な閉鎖花がもちあがった。 鉢は2.5号(7.5cm)プラポット鉢。なお2009年に入って全て開花している。

  • [まとめ]
    1. スミレ類の種子は閉鎖花から採取する。
    2. 閉鎖花の果実が横に持ち上がったら採取の準備をする。採取しないなら、不織布で包んだ方が良い。 もう少し待ってからと欲張ると、翌朝見たらはじけていて思わぬ失敗をすることがある。
    3. 播き床は通常ミズゴケで良い。高山性スミレの発芽には寒さを過ごさせる必要があり、また種子が熟して殻がかたくなるほど発芽は遅れるようである。
    4. 順調にいけば、多くはタネ播き2年で開花するようだ。
    [開花したキバナノコマノツメのその後]

    キバナノコマノツメは開花すると老化が早いようである。翌年植え替えようとすると、多くは根腐れている。 自生地は高山の半日陰であり、平地での夏越しが苦手なのかも知れない。従って毎年花を楽しみたい人は、種子を採種して実生を繰り返すのが安全であろう。


    [Home]  [実験植物名に戻る]