バラ科シモツケ属 Rosaceae Spiraea L.
マルバシモツケ Spiraea betulifolia Pallas

マルバシモツケの花(八甲田山)

マルバシモツケは本州中北部から北海道の高山にに自生する低潅木。一つ一つの花は小さく見栄えがしないが、複散房花序になるので路傍の初夏の花として登山者の注目を引く筈である。 「実生1」は知識の乏しかった初期の実験で正直言って失敗例であった。現在「実生2」を追加実験中であり、その成績も今後公表する予定である。


実生
【実生1】
  • タネ播き日:2004/09/12
  • 播き床:鹿沼土、赤玉土、桐生砂の混合用土
  • 植え替え日:2005/04/11
  • 植え替え用土:混合用土
  • 撮影日:2006/06/30

    [メモ]
    混合用土に採り播きした。3週間〜1か月で一部発芽する。マルバシモツケの発芽苗の生育は遅かった。 (「まとめ」に述べたように、やり方が良ければ生育はそんなに遅くないようだ)。写真は実生2年目のもの。
  • 【4年目】
  • 植え替え日:2008/07/09
  • 植え替え用土:混合用土
  • 撮影日:2008/07/09

    [メモ]:うっかり植え替えをサボッていた。怠った分、根が鉢内をびっしりと回っていた。 写真は実生と挿し木を比較として示したが、挿し木の方が2年早まる。なお鉢は9.0cmプラポットである。
    ◎写真左:実生満4年
    ◎写真右:さし木満1年

    [メモ]:その後植え替えを繰り返したが実生1の成長ははかばかしくなかった。2012年になって手持ち2株のうち1株を地植えにまわし他の1株は廃棄した。

  • [実生1のまとめ]
    1. その後再実験も行っている。播き床はミズゴケより用土が良かった。種子が良ければ採り播き1か月前後で一部発芽する。
    2. 植え替えは年を越してから行う。共同培地とし(一つ一つの小さな鉢でなく、大きめの鉢に数株を植えること)植え替え時鉢底ゴロ土の上に化成肥料を置く。 置き場所は半日陰とし養生すると生育は進む。
    3. 植え替えをうっかりすると根詰まりを起こし成長が中断する。また無数に生えるヒコ枝は整理した方が良いようである。
    4. その後植え替えを繰り返したが実生1の成長ははかばかしくなかった。2012年になって手持ち2株のうち1株を地植えにまわし他の1株は廃棄した。
    5. 地植えしたところ【実生2】と同じく2013年に開花した。写真は省略。【実生2】を参照願いたい。

    挿し木
    【挿し木・発根状態】
  • 挿し木日:2007/06/25
  • 挿し床:鹿沼土
  • 撮影日:2007/09/16
  • 植え替え日:2007/09/16
  • 植え替え用土:基本混合用土

    [メモ]
    4本挿し2本が発根した。挿し木の植え替えは春に行うのを原則としている。しかし今回は発根状態を示すための、あえて根を現し秋の植え替えを行ったものである。
  • 【挿し木3年目・開花】
  • 植え替え日:2008/07/09
  • 植え替え日:2009/04/18
  • 植え替え日:2010/04/21
  • 植え替え用土:基本混合用土

    [メモ]
    毎年植え替えを繰り返した。鉢底には少量のマグアンプKを置き、基本用土で植え替えている。挿し木は発根した2株中1株が3年で開花した。


  • 【実生2】
    実生1は植え替えをうっかりした例であった。そこで2009年から実生の再実験を行っている。開花まで何年かかるか分からないが、データを更新しながらあわせて掲載することとした。
    1. 種子採種日は2009/08/16、タネ播日は2009/08/18である。
    2. 播き床は基本用土床(鉢底にマグアンプK)とミズゴケ床を用いた。30粒ずつをプレステラ95に播いている。
    3. 約1か月で10粒ほどの発芽を見、発芽後の生育は用土播きの方が良かった。
    4. 1回目の植え替えは2010年の春に行っている。そして植え替え株を風除室で養生したところ、かなりの大きさに成長するのが分かった。
  • 0年目
  • タネ播き日:2009/08/18
  • 播き床:基本混合用土
  • 撮影日:2010/05/17
  • 1年目
  • 植え替え日:2010/05/17
  • 植え替え用土:基本混合用土
  • 撮影日:2010/06/24
  • 鉢は7.5cmプラポット。
  • 地植え:2010/10/29。2株を地植えした。
  • 2年目
  • 植え替え日:2011/04/21
  • 植え替え用土:基本用土3、蝦夷砂1
  • 撮影日:2011/08/27
  • 鉢は9.0cmプラポット。
  • 【実生2、3年目】
  • 植え替え日:2011/10/16
  • 植え替え用土:混合用土
  • 撮影日:2012/07/03

    [メモ]:前年秋に植え替え、鉢植え3年目の状態を示した。鉢は5号駄温平鉢である。樹形を整えるため一部の枝を剪定した。

    [メモ]:なお2010/10/24日にロックガーデン移植した2株は、今年に入って急に大きくなった。 他の高山植物(メアカンキンバイ、ホソバイワベンケイ等)を圧迫・日陰にするので、影響のない場所に移し変えている。
  • 【実生2、5年目開花】
  • 撮影日:2013/0/03

    [メモ]:ロックガーデンに移した株は、元気で大きくなり5年目で沢山花を咲かせた。

  • まとめ]
    1. 播き床はミズゴケより用土が良い。種子が良ければ採り播き1か月前後で一部発芽する。
    2. 当年発芽苗の植え替えは年を越してから行う。鉢は大きくするか、共同培地とし(一つ一つの小さな鉢でなく、大きめの鉢に数株を植える)植え替え時鉢底ゴロ土の上に化成肥料を置く。
    3. 幼苗の置き場所は遮光気味とし養生すると生育は進む。植え替えをうっかりすると根詰まりを起こし成長が中断する。
    4. マルバシモツケは鉢植えでも育てられるが、地植えの方が容易である。挿し木なら3年、実生なら5年で開花する。

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