ツツジ科イワヒゲ属 Ericaceae Cassiope D. Don
イワヒゲ Cassiope lycopodioides (Pall.) D. Don

イワヒゲの花(羅臼岳)

イワヒゲは挿し木が容易なので、実生の研究をする人は少ないと思う。種子は大変細かい。ミズゴケと混合用土の両者に播いてみた。 発芽は年を越してからとなった。ミズゴケ床の方が発芽率も生育率も優れていた。最初ツガザクラ類似の子葉が出、ある日突然イワヒゲ独特の葉が伸びてくるのが面白い。


【実生1】
  • タネ播き日:2007/09/25
  • 播き床:@ミズゴケ。A混合用土
  • 発芽確認日:2008/04/07
  • 撮影日:2008/08/24

    [メモ]
    年を越して両者とも発芽した。ミズゴケの方が発芽率も生育率も優れていた。
  • 【植え替え】
  • 植え替え日:2009/05/08
  • 植え替え用土:基本用土4、十和田砂1、少量のピートモス
  • 撮影日:2009/07/09

    [メモ]
    鉢底ゴロ土の上にマグアンプKを1粒置き、上記用土で植え替えた。全部で10本(株)であった。
  • 【3年目】
  • 植え替え日:2010/04/10
  • 植え替え用土:基本用土
  • 撮影日:2010/06/26

    [メモ]
    生育の良い6株は1株ずつ7.5cmプラポットへ植え替えた。また生育のやや劣る子苗4株は、プレステラ95(共同培地)に植え替えた。写真は後者のものである。
  • 【5年目。開花】
  • 植え替え日:2011/05/23、2012/05/05
  • 植え替え用土:基本用土1、蝦夷砂1
  • 撮影日:2012/05/19

    [メモ]
    細かいことは省略する。最終的にはプレステラ95に1株ずつ植え替えた。手元に残った8鉢中4株が5年目で開花した。

  • 【実生2】
    「実生1」は富良野岳系の種子による実験である。取り寄せ種子による「実験2」も平行して行ったところ、3年で花を咲かせたので紹介する。
    1. 播き床、植え替え用土等は「実生1」と同じ条件である。
    2. 発芽し生育した子苗はミズゴケ床の2株だけであった。発芽2株は共同体として植え替えている。
    3. 植え替え2回で小さな花芽をつけ、3年目の春に待望の花を咲かせた。
    タネ播日発芽確認日植え替え日植え替え日開花撮影日
    2008/03/222008/04/082009/05/122010/04/102011/05/19

    実生2イワヒゲの開花

    【挿し木】
  • 挿し木日:2004/06/02
  • 撮影日:2007/05/18

    [メモ]
    従来私は昨年枝を少しつけて挿してきた。挿し床は鹿沼土(細粒)。特別の設備がなくても挿し木の成功率は50%以上。 挿し木苗は翌春に植え替える。植え替え用土は基本用土に蝦夷砂を加えているが、こだわる必要はないだろう。 今年枝挿しについては2010年度から研究中であるが、むしろ今年枝挿しの方が良いように感じている。

  • [まとめ]
    1. 種子は大変細かい。種子は採り播きしても、発芽は寒さを経てからとなる。
    2. 播き床はミズゴケ床がベスト。発芽苗は小さく植え替えは通常2年目となる。開花まで最も早くて3年、5年で多くの開花が期待できる。実生は思ったより簡単であった。
    3. 挿し木は昨年枝挿しより、今年のびた葉挿しの方が良いようである。
    4. 実生苗は単独での鉢植えでも良いが、石付けにしてこそ真価を発揮すると思い実験を継続している。

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